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切子工房 箴光は、伝統的な江戸切子の技術を継承した独立切子士が製作する切子の工房です。

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注意!進化した酸磨き

注意!進化した酸磨き

切子工房 箴光職人の気まぐれ日記>注意!進化した酸磨き

悪い意味で進化している酸磨き、酸洗いの江戸切子製品や切子製品を選ばないために伝統的な手法の「手磨き」を大事にしている切子職人の私が直接解説しようと思います。



ほとんど多くの工房や切子作家が酸磨き、酸洗いをしているなかで、酸磨き、酸洗いの品質の良くなさや目利きの方法について消費者にお伝えしています。

多勢に無勢で干される身の危険や陰湿ないじめを受ける可能性があります。

もうすでに真実を知られては困る同業者から嫌がらせのメッセージも受けています。



だから誰も今まで声を大にして言っている人は存在しません。

これからも多分誰1人としてそういう人は出てこないでしょう。



それでも本当に良い物はYES、良くない物はNOと伝えることがユーザーのためです。

良いことは制限され、誰も正しいことを言えない世界。違うと思います。

そういう勇気だけで今動いています。



このホームページでも多くのページでガラスの表面をボロボロにしてしまう酸磨き、酸洗いの江戸切子、切子製品について注意を促してきました。


しかし、最近悪い意味で酸磨きが進化していることを知ってしまったのでみなさんに共有したいと思います。


酸磨き、酸洗いとは

ホームページの各所で説明していますが、おさらいすると酸磨きとは「硫酸などの劇薬にガラスを漬け込むことで放置しながらたくさんの個数を磨ける」方法です。


生産性が非常に高いので、
利益を追求している大手の工房から個人の切子作家まで業界の90%ほどが酸磨きを行っております。


複数人の従業員がいる大手の工房も利益追求の動きが激しく、大体酸磨き、酸洗いをするようになっているのが現状です。



しかし利益を求めて酸磨き、酸洗いをしている一方で、消費者には悪いことだらけです。
・酸に漬け込むので表面がボロボロになり、傷がつきやすい
・油や水垢が目には見えない凸凹の表面に食いつきやすく、汚れやすい
・カットの山が溶けてしまい、エッジが無くなり手触りが安物のガラス製品レベルにまで落ちて見た目の印象もぼやける
・光沢はそこまで出ない
・色被せのところまで溶かしてしまうので明暗のグラデーションが出ない
・色が落ちる可能性がある


という本当に消費者にとっては悪いことだらけです。



元々酸磨き、酸洗いは曇る感じに仕上がるので本来は「
光沢が出る製品には適していない」というのは業界の人はよく知っていることです。

さらにこの酸磨き、酸洗いでは虹色の輝き、「ファイア」が出にくいです。
※ファイアについては後述。



それをいつの頃か、ユーザーが知らないのを良いことにユーザーの利益よりも自分の利益を優先して江戸切子を作ってしまう工房や作家が増えました。

今では伝統的な手法の手磨きの磨き方を大幅に上回って、その数も逆転して常態化してしまっている状態です。

手磨きの技術を教えられる職人が減っているのも原因の1つだと思います。



今では「光沢が出にくい」ということを知らないで、上の人に教わったままに酸磨き、酸洗いについて何の疑問も持たないでそれが正解、正義だと思って作業している職人もいると思います。

仕事を理詰めで考えて常識を疑える優秀な職人じゃないとなかなか自分のやっている間違いに気付けないでしょう。



「お金を稼いだ人が正義」みたいな世の中の風潮が強くなり、グレーゾーン、犯罪まがいのことをして大金を稼いで、横柄な態度をする人も世の中に増えています。

そういう時代の流れなのでしょうか。


「Googleが掲げる10の真実」というものがあって、その中に「悪事を働かなくてもお金は稼げる」という理念があります。

「質で勝負できないなら、そもそも勝つべきじゃない」とGoogleの創業者は言っています。

私もそれを体現して世の中の子供や若者に示していきたいです。


デパートで売っている江戸切子、切子製品も大体おおむね酸磨きです。

デパートに出品することでデパートの仲介手数料が1万円くらい上乗せされますから、伝統的な手法である本来の手磨きだったら、3万円くらいで販売できるわけがないのです。


手磨きと酸磨き、酸洗いの見分け方

それではこれらの粗悪品を消費者が回避するにはどうしたらいいのか?

ということで当工房では「色が薄いものは色の部分まで酸で溶かしているので酸磨き、酸洗いです」と、お伝えしてきました。


上が赤で、下が瑠璃色(るりいろ)で、両方とも酸磨き、酸洗いをした製品です。
酸磨き・江戸切子


こちらは銀座の江戸切子展で撮影したもの。
酸磨き
酸磨き、酸洗いをやっている工房や作家はこのように色が明らかに薄いので見ればすぐにわかります。




当工房の手磨きの製品と比べて見て下さい。
手磨き・江戸切子
左が本来の瑠璃色の濃さ、右が本来の赤色の濃さになります。

これを見れば一発で酸磨き、酸洗いをしている粗悪品がわかりますので、これでみなさんに目利きの方法として教えてきたわけです。



当工房で行っている「手磨き」という手法は、カットした面だけを1か所ずつ丁寧に手作業で磨いていきます。
・明暗が出やすくグラデーションが出る
・カット面の光沢が強く出る
・エッジがきれいに出て、手触りが良い
・強度が高い
・油や水垢が酸磨きに比べて付きにくい


など消費者に取っては良いことだらけです。



手磨きと酸磨き、酸洗いがわからなくなる大事件

見分け方は色が明らかに薄いかどうかで昔からみなさんには注意喚起してお伝えしてきました。

しかし、この見分け方を揺るがす大きな事件が起きてしまいました。

先日、黒の切子が欲しいという要望があったので、黒の色被せガラスを仕入れて製品開発に取り掛かり始めた時のことです。




カットを入れてみたのですが、通常出てくるはずの下のクリアな部分が全然出てきません。
色被せ濃さ
黄色で囲ったところです。



これはおかしいと思いながらも透明な部分が出ないことには切子にはならないので、とりあえず透明が出るまで削りました。
色被せ濃さ・江戸切子
ここまで深く削らないと色が透けませんでした。

線がこんなに太くなってしまったら線のシャープさが出せずに全く製品として成り立ちません。



表をあれだけ削っても裏から覗くと黄色の丸部分のこれくらいしか透けていません。
色被せ濃さ・江戸切子
色被せガラスの素材を作っている会社に「手作りで色の多少の濃さの変動はあるとは言え、これはさすがに許容できません」とメールにて問い合わせしました。



すると「当社の黒の色被せガラスは酸磨き、酸洗いを想定して、色被せを濃く作っております。斉藤様が酸洗いで無いことを失念しておりました。手磨き用の黒の素材が欲しい場合は120個から注文を承っております。また色被せのばらつきは出ますので、カットの透明が出にくい場合は山を高くしてカットの程お願いします」との返答がありました。



・小さい工房ではとても120個の金額なんて到底払えないことをわかっていながら言っている
・カットの山を変更することはダイヤモンドホイールを新調し、何十万円というコストが発生することをわかっていながら「あなたの作業の仕方を変えてください」というメッセージ
であることにかなりの疑問を持ちましたが、

まあそこで初めて
「酸磨き用の色被せガラスがある」ことを知りました。



今までは「見て色が薄ければ酸磨き」と一発でわかるものでしたが、現にこの会社が自社で作っている黒の切子を見ましたが、色の濃さは手磨きにかなり近く見分けるの困難でした。

というよりも画像だけでは私でも無理な状態です。



実際に光に照らして光沢を確認したり、カットのエッジがとろけて丸まっているかなど確認しないとわからないです。

しかし、そこまで来ると初心者の人には職人の目利きの能力を持っているわけでもないので、まず100%見分けるのは不可能です。


購入後に使用して、
欠けたり、色被せの色が落ちたり、汚れが残りやすかったりのトラブルが出て初めて酸磨きと理解することでしょう。



もちろん、今まで通り色が薄い酸磨きの切子を作っている工房や切子作家もいるので、見分け方としては間違いないですが、最近ではこうやって消費者の目をごまかすために酸磨きの手法も進化していることを知りました。



力の入れるベクトルがマイナスの方向に走っているのが非常に悲しいです。

銃を正しく使えば警察官、悪く使えば凶悪犯。

大きく力を持っている人ほど、力の使う方向をよく考えて行動しなければなりません。



今までは「酸磨きの製品の見分け方、目利きは教えましたので、当工房で買ってもいいし、数少ないですが自力で他に色々探してみてもいいです」というスタンスでした。


しかし、今は一般人には見分けが付かない物が出始めている以上「変なもの掴まされて嫌な気持ちになるくらいなら当工房の製品をぜひ選んでほしい」と強く願います。

工房直営なので、デパートの仲介手数料1万円とかが金額に上乗せされることはございません。

また、税理士費用月5万円、ホームページメンテナンス費用月5万円などの他の工房がかかっているだろう費用も全て私が自分で仕組みを理解して自分で運用しているのでそれらの金額も製品の値段に上乗せされていません。



ちなみに江戸切子展のこの酸磨きの製品、64,800円します。
デザインも菊籠目をぐるっと削っただけで工夫に乏しいように私は思います。
酸磨き
当工房の製品の値段と比較してみて下さい。

みなさんの選択が間違わないことを強く願います。
製品一覧 」はこちらです。




それでは!

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埼玉県所沢市金山町11-11
E-mail:kirikoshinkou@yahoo.co.jp
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