本文へスキップ

切子工房 箴光は、伝統的な江戸切子の技術を継承した独立切子士が製作する切子の工房です。

ショッピングカート

解決!江戸切子と薩摩切子の違い

解決!江戸切子と薩摩切子の違い

切子工房 箴光>解決!江戸切子と薩摩切子の違い

このページでは
・物理的な江戸切子と薩摩切子の構造の違い
・江戸切子と薩摩切子の歴史
・江戸切子と薩摩切子の値段の違い
のラインナップで紹介します。






じっくり解説する前に表に違いをまとめましたので、ご確認下さい。

このページの内容をまとめますと上記のようになりますが、詳細をお話していきます。







執筆した切子職人の自己紹介

公益社団法人日本工芸会所属の独立切子士である斉藤光。彼の言葉で切子(江戸切子)の本物と偽物の見分け方を直接専門家の視点で解説します。

切子工房 箴光(しんこう)を代表します独立切子士の斉藤光(さいとうこう)と申します。


江戸切子の工房で修行してから独立し、「公益社団法人 日本工芸会」という人間国宝の先生が所属する団体に、正会員2名に推薦を受けて所属しております。


営業担当や外注して記事を書くライターではなく、このホームページ自体を切子職人である私自身がプログラミングして文字を入力しております。






「江戸切子と薩摩切子どちらが高い?」という質問などにも答えていますので、一読頂ければと思います。

まずは実物をご覧ください。

左が江戸切子系統の切子、右が薩摩切子です。
江戸切子と薩摩切子の違い、実際の写真、
見た目はバターとマーガリンのような感覚で私達は感じるかもしれません。


ちなみに右の薩摩切子は私がアマチュアのただの一般人だった時に、鹿児島県の仙厳園に行った時に趣味で3万円で購入しました。






このページを見ていけば、違いがわからない状態が解決していくかと思います。

切子、切子グラス、切子作家、切子職人、江戸切子の技術、ガラス、贈り物、プレゼント

切子工房箴光では独自性が強くデザイン性が高い作品が創作されています。

この機会にご確認頂けると幸いです。







江戸切子と薩摩切子の値段の違い

まず一番最初にみなさんが一番気になっていると思われるちょっとしたブラックボックスの値段についてお話していきたいと思います。


かなり長めに、内部事情を知っている切子職人目線で詳しく解説するので「値段の違いは知りたくないよ!」って方は次の項目に飛んでください。


結論は「薩摩切子の方が気持ち高いけど、工房ごとにピンキリなので江戸切子の方が高い場合もあって、どちらが高いということは無い」です。



値段の構造の話を見る



もう一度先ほどの写真をご覧ください。

江戸切子と薩摩切子の違い、実際の写真、

右の薩摩切子のぐいのみは鹿児島仙厳園で実際に私が趣味で30,000円で購入したものです。


江戸切子のぐいのみが
ブランド料を取っていない工房のもので1万円くらいで買えるのに対して、上に書いたように私は3万円で薩摩切子のぐいのみを購入しました。


歴史背景的に薩摩切子は発端当初からブランドとして展開していた名残りで値段の差異があります。


また色の付いた層が厚く、材料費も江戸切子よりも高いので、それも値段の高さに起因しています。






ここから色々切子職人ならではの事情みたいなものを長々語りますが、先に結論をいうと、「
工房ごとに方針が違うので江戸切子と薩摩切子のどちらかが絶対に高いということは無い」ということです。


ただ、江戸切子と薩摩切子では薩摩切子の方が気持ち高いイメージです。


最近のトレンドだと思いますが、江戸切子関係も8万円以上くらいを目安とする薩摩切子を超える超高額なブランディング方向に調整している工房が最近かなり増えている気がします。






ブランドの周辺コストへの支払い

値段をあげて高級品のようにブランド展開するので製品価値以外の費用がかなりかかります。

ブランド料
一等地での出展料
広告料
動的な洗練されたホームページ

というような製品価値とは関係ない周辺のコスト増に対しての支払いが発生します。





特に私のこのホームページは自作で製作しておりますが、これをホームページ作成業者に依頼すると500万円以上はかかる見込みです。


「このホームページ洗練されていて綺麗だな」と思うような動的なホームページにも、もちろん300万円以上のコストは間違いなくかかっておりますので、それをペイするのは最終的に購入者の皆様ということになります。


それが洗練されたブランドの物を購入するということです。






これは別に切子だけでなく、革製品とかでもそうですよね。


ルイ・ヴィトンなどのブランドの鞄を買えば高くなりますが、同等の機能性を持ったものを日本の零細の革加工職人はお手頃な価格で販売しているのと同じ構造です。


皆様が「切子をステータス込みで購入したい」のか、「切子の物自体の美しさが欲しい」のかによって選択肢は変わりますし、選択肢が多いことはユーザーにとっては良いことです。


伝統工芸品は斜陽産業なので、切子を作る工房が減れば、それだけ選択肢が狭まりますが、江戸切子業界ではまだ比較的選択肢は残されています。






切子職人と切子作家

一方で、私のように「庶民の間で広まった」という江戸切子の歴史的背景、アイデンティティを大切にして安価に提供する工房
少数ですが存在します。


私もそうですが、カットスピードをあげて値段を抑えて庶民向けに販売する努力をしている人を私は「切子職人」と呼んでいます。






こちらは当工房の最安値のタンブラー(コップ)ですが、カットスピードを上げて、値段を抑えた初心者向けのエントリーモデルです。

「底消し玉矢来タンブラー」
底消し玉矢来タンブラー、切子、青、金赤、銅赤

こちらは「切子職人が作った作品」というタイプですが、磨きの技術が一流なので、店頭で買うことができないハイクオリティさを感じて頂けるはずです。






一方、自分の気が済むまで際限なく、時間とコストをかけて製作する人を「切子作家」と私は呼んでいます。
※と、多分他の切子職人さん達も呼んでいると思います。


こちらは切子作家が作ったような「1点物」系の手の込んだ作品です。

「五菊繚乱天開ロックグラス」
切子、五菊繚乱天開ロックグラス、最高峰のカット密度を誇る江戸切子の技術が詰め込まれた自社工房製の有名なロックグラス。
こちらは「切子作家が作った作品」というようなタイプで、全てがハイクオリティで、この作品はアメリカからの注文も何回もあり、世界的に通用するタイプの作品です。


こちらは、アメリカのお客様から私へのメッセージです。(代理店挟む)

全国的に有名で海外(アメリカ)からもお礼のメッセージをもらうこともある切子職人斉藤光。江戸切子の確かな技術を使って世界にメイドインジャパンを届けている。






紹介した2つの作品はいずれも私、独立切子士斉藤光がデザインしたものです。


最初の自己紹介のところにも記載したとおり、私は江戸切子の工房で修行したので基本の能力には江戸切子職人の性質をもちます。


独立後は公益社団法人日本工芸会という人間国宝の先生が所属する日本の物作りの最高峰の団体に所属しており、そこで切子作家の先生という立場でも作品を作っております。





切子の値段のイメージ

前後はあると思いますが、一般的にこういう感じの値段になっていることが多いように思います。
江戸切子と薩摩切子の違い、実際の写真、
切子作家の方の作品は同じデザインの作品でも2倍~3倍くらい時間をかけて製作します。


カットが楽になる方法があって、確かにその作業方法をすればカットの工程は楽ですが、カットの工程を楽した代償として磨きの工程が通常の3倍ほど時間がかかるやり方があります。


その作業時間はダイレクトに値段に反映されます。


同じカットの物でも値段が1.5倍~2倍くらい高くなる傾向があったりするのはこういうのに起因しています。


同じようなデザインなのに、なんでこんなに値段の差があるんだ!と思う場合は、多分この可能性があります。


参考の見分け方として、かなり円に近い急カーブをカットしている創作系の切子は、間違いなく磨きの工程で尋常じゃなく工数がかかっているので、その分は皆様に代金として請求されています。






江戸切子は値段はピンキリ

個々の工房で切子を販売するに至るまでにかかるコストはかなり変わり、江戸切子の世界だけでもピンキリの金額の差が生まれています。


すごい洗練された感じでシンプルさを売りに展開する場合もありますが、カットの内容は修行歴2か月くらいの初心者でもできる、工数がほとんどかからないカットしかしていない作品もありますが、高額で売れています


それも「ステータス込みで作品を購入したい」と思っている人がいるから、成り立っているものです。


江戸切子の方が高いとか、薩摩切子の方が高いとか工房の作品の作る方向性に依るので、一概にどちらが高いとかは明確に言えない状況です。






よって個々の工房の値段とデザイン性を見て「ここの工房は好きだな」という感じで各自で判断するというのが一番ベストかと思います。


作品の多様性があることがユーザーにとって最も良いことですので、個々の工房の作品の方向性の違い、値段の違い等をユーザー自身が判断して選択してみてください。






私は今日本工芸会に所属して切子作家の立場で切子(カットグラス)として販売しておりますが、中身は江戸切子の工房で修行し、歴史的背景の「一般庶民の間で広く浸透した」という江戸切子の本来の姿の文化を地で行くスタイルです。



作品のデザイン性と値段を見れば私が語らずとも当工房のことがわかると思うので、一度作品をご覧いただけると幸いです。
江戸切子全製品一覧
製品一覧









物理的な江戸切子と薩摩切子の構造の違い

物理的な構造の違いとして、飲み口をご覧ください。
江戸切子と薩摩切子の違い、上から見た時
江戸切子系統の飲み口は薄め、薩摩切子はかなり分厚いのが特徴です。


右の薩摩切子の飲み口は普通の市販のコップの2倍くらいの厚みがあります。






薩摩切子の素材の製法


薩摩切子のガラスの製法ですが、固まる前の透明なガラスのコップの底の部分に、逆向きに色つきのコップを付けます。


次に色つきのコップの生地を透明なコップに覆いかぶせるようにしてくっつけて二重構造にしています。

薩摩切子図解

ゆえに2個分のコップのガラスの厚みがあります。


3D的な厚みの観点で言えば江戸切子には絶対に無い特長です。


手触りがゴリゴリした感触が心地良く江戸切子には無いポイントだと言えます。


江戸切子の方ではカットをかなり深掘りすることでエッジの利いた触り心地良さがあります。


薩摩切子は凸を楽しめて、江戸切子は凹の部分を楽しめるようなイメージかと思っています。






江戸切子の素材の製法



江戸切子はグラスの型の鋳物にまずは薄く色のついたガラスを吹き付けます。


その上から透明なガラスを吹き付けて二重構造にしています。


元々は鋳物からガラスをはずす際に「ポカン」と音がするのでポカン工法と呼ばれていました。


今では技術が進歩してポカン工法より上位の製造方法が考案されて二重構造のグラスが製作されていますが、基礎としてはポカン工法と同じものです。


これは薩摩切子のガラスとは製法が異なるものです。






カット面の違い


カット面についてもご注目下さい。

江戸切子と薩摩切子の違い、カット面の違い

左の江戸切子系統の切子はくっきり細いカットの線が出ています。


右の薩摩切子はカットした部分と色の境界が曖昧で全体的にぼやっとした印象です。


これを薩摩切子では「ぼかし」と呼んでいます。





ぼかしという概念を教えられて、改めて見るとハッキリ違いが判るようになりましたよね。

江戸切子と薩摩切子の違い、実際の写真、

自分が気に入った切子を選択すると良いと思います。


先ほども説明した通り、薩摩切子のゴリゴリの手触りも私は好きです。






カットは江戸切子も薩摩切子も工業用の切削機材で大きく削る方法は同じです。
ダイヤモンドホイール、江戸切子
切削機材は各々の工房で特注の物を使用しているかと思います。


私は過去何社か見てきましたが、同じ切削機材を使っている工房はありませんでした。


私は江戸切子の工房で修業をしましたが、薩摩切子の製造も基本的な部分ではかなり近いことをしているはずです。






また、どのようにカットして仕上げていくかは個々の工房による違いが重要になってきます。


例えば、江戸切子という枠組みの中でも工房ごとによってカットの角度は違います。


山が高ければ谷の深いエッジの利いた手触りの良いカットになります。


また浅い角度で削れば色を取りながら幅の広いカットができるので、山の高いカットとはまた違った表現が出来ます。


工房ごとに道具も違えば、カットの方法も違いますし、磨く方法も違います。


工房の特色によって出来上がる切子もだいぶクオリティが違ってきます。


工房ごとに必ず特色があるので、その中から何を選択するかはユーザーである皆様の自由です。


多様性があり、選択肢が多いことはユーザーにとって良いことです。






切子の世界の全体像


日本国内には様々な種類、名称の切子(きりこ:カットグラスの和名)が存在しております。


例えば、愛媛のぎやまんと呼ばれるものも切子だったりします。


江戸切子と薩摩切子も切子という大きな枠組みの中の切子のひとつのブランドの種類です。


イメージとしては以下の通り。

江戸切子と薩摩切子の位置づけ

大きな枠組みの中に〇〇切子という名前のブランドはたくさんあります。






例えば、高級時計と言えばロレックスとパッと出てきますが、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロンコンスタンタンと言っても普通の人には?マークがつきます。


しかし、高級時計が好きな人なら「ロレックスは持ってるけど、いつかはオーデマ・ピゲを買いたいね」と言う人もたくさんいると思います。






切子も有名なブランドの江戸切子、薩摩切子を購入するのも選択肢ですが、ブランド名にとらわれず、自分が好きなデザインの切子を買うのが一番おすすめです。



切子(カットガラス)では無いですが、ガラス関係で言えば、

津軽びいどろ(青森)
萩ガラス(山口)
倉敷ガラス(岡山)
琉球ガラス(沖縄)

などが日本の地域ブランドとして存在したりもしてますね。






次の項目は歴史的な話に入っていきますが、みなさんが知りたいと思っている物理的な違いの項目はここまでです。



切子工房箴光の切子も優れたデザイン性と、日本国内においても作品の種類が圧倒的に多いので、製品を見て楽しんでみて下さい。





薩摩切子との違いを知った上で当工房の作品を見てみましょう
切子、色、瑠璃、赤、銅赤、緑、青紫、青、







江戸切子の歴史

江戸切子は1830年代(天保1年:江戸時代)、日本橋の江戸通りの藍町(しおまち)というところが発祥とされています。


ちなみに薩摩切子は1846年から製造され始めているので、江戸切子の方が歴史としてはほんの少し先になっていますが、ほぼ誤差です。





加賀屋、在原屋などのビードロ問屋がこの江戸通りに並んでいました。
江戸切子の起源
東京駅の少し北側に伸びる黒い線の部分が江戸通りです。





江戸時代の商品カタログ


公的に証明できる資料として加賀屋のビードロの資料が残っています。

そこに透明なガラスにカットを施した江戸切子の絵が残っています。
江戸切子の歴史
江戸時代の引札、当時のカタログにあたる資料が現存しています。


様々な硝子製品が記載されているカタログです。


中心からちょっと右下らへんが江戸切子の製品の部分です。






江戸切子の昔の製法


江戸時代の当時は木の棒に金剛砂(こんごうしゃ)という目の粗い砂を水に混ぜたものを塗布して削っていたそうです。


製作日数も今と比べて遥かに長かったそうです。


昭和まで、金剛砂(こんごうしゃ)という粗い砂を水に混ぜて削る方法は行われていました。


私の師匠のさらに師匠から聞いた話では、一日中回転する木の円盤に金剛砂を流し続ける仕事を3年していたそうです。


気が抜けて金剛砂の流すのを止めてしまうとカットしている師匠によく怒られたとおっしゃっていました。
師匠の図
わけがわからなくなりそうなので図にしました。






会長の貴重なお話


江戸切子の工房で修業していた時の高齢の会長からお聞きした江戸切子の歴史をそのままお伝えします。


加賀屋や在原屋などの昔ながらの江戸切子を作っていた会社は消滅し、その会社独自の技術等の継承はありません。


しかし、職人個人個人単位での技術の継承は行われていました。


明治時代(1868年~1912年)になって品川ガラス工業所の9人のガラス職人がイギリスから来た技術者からカットの技術を学び、その技術を広めて今に至ります。


1984年(昭和59年)にアメリカやヨーロッパからカットグラスが大量に入ってきました。


日本のカットガラスの技術が消えようとしていました。


それを危惧して東京ガラス製品組合のあと押しで、組合が東京都に申請して江戸切子が伝統工芸品に指定されました。



当初は透明なガラスばかりにカットしていました。

しかしカット技術を強調できる色被せガラスを考案し現在の形になりました。
江戸切子と薩摩切子の違い、カット面の違い
カットをすると表面の色付きの硝子が無くなり、下の透明な部分が現れてグラデーションになるというものです。
メタモルフォーシスロックグラス、江戸切子、ペアグラス
この二重構造のガラスを「色被せ(いろきせ)ガラス」と言い、江戸切子には欠かせないものです。


色被せガラスについては「切子とは」のページに作り方と構造を写真付きで丁寧に説明してあります。

合わせてご参照下さい。

この話は当時修行していた江戸切子の工房のご高齢の会長が直々に教えて下さった内容で、とても貴重な話です。






大元はポルトガルの技術?


1639年~1854年まで日本は鎖国をしてきました。


それでもその間に長崎の出島ではポルトガルやオランダと交易してきました。

薩摩切子の起源

ポルトガルでも古くからのカットガラスが存在します。

ポルトガルのカットガラスを見ると、日本のカット技術に近いものを感じます。


なので、ポルトガルからカット技術が入ってきたものだと私は推測しています。


文献によってはオランダ人の本から薩摩藩士が学んだという記述もありますが、真偽は今となってはわかりません。



いずれにせよ、カットガラスという発想は出島を通して欧州の方の海外から持ち込まれた概念であることは間違いありません。



学術的・客観的にはどうであったか正確にはわかりません。



江戸切子と薩摩切子の歴史としては1800年頃に公的な資料が残っているというだけで、1800年頃にいきなりその技術が確立されたとは考えにくいです。



公的な資料は無いにしろもっと古くからカットガラスの技術の進歩は行われてきたのだと推測されます。





今では大正初期の江戸切子に比べ、カット技術もより進化し、複雑で独自の進化を遂げています。
江戸切子、ショットグラス
ショットグラス一覧





技術はどんどん進化していますが、追求しすぎて全体を細かくカットしすぎて他のコールドワークのグラヴィールやサンドブラスト作品に近いデザインの切子も出てきているかと思います。



ざっくりしたカットと緻密なカットの塩梅を考えないと他のコールドワーク作品でいいよね、という状況になりかねないので、そこらへんは私は注意しながらデザインを考えています。

「ぐいのみ・最高峰」
ぐいのみに国内最高峰の菊繋ぎと八角籠目を削った江戸切子の伝統的な技術で削った独立切子士、斉藤光の作品。







薩摩切子の歴史

弘化3年(1846年)に薩摩藩の島津家27代当主島津斉興が化学薬品を取り扱うためにガラスを製造したことがきっかけとされています。


その後28代島津斉彬が藩主になると着色ガラスの研究が進み、現在の薩摩切子の形になりました。


江戸切子が庶民の間で広く広まったのとは違い、島津家の管理下で「集成館」という工場でガラスの製造は行われました。





この「管理下」というのがミソで、つまりは「ここでしか薩摩切子を作ってないよ」というブランド的な意味合いが強くなっており、幕府に献上されたりもしています。


現在の薩摩切子が高めの値段設定をしてブランド展開をしているというのは、このような歴史的な背景があるからです。





安政5年(1858年)にイギリスとの薩英戦争がありました。

イギリスの戦艦に砲撃を受けて工場が壊滅し、1846年の製造からわずか12年で製造が中止になりました。

技術は完全に途絶えてしまいました。
薩摩切子の起源
工場は無くなりましたが、尚古集成館(しょうこしゅうせいかん)という資料館が1923年から現存しています。

私も旅行で行きましたが、鹿児島仙厳園に隣接して存在していますので興味のある方はどうぞ。






鹿児島県指定の伝統工芸品

技術は一旦完全に途絶えてしまったが、それを現代に復刻しようという取り組みで1985年に当時の資料から再現して出来たのが現在の薩摩切子です。


当時の技術は完全に失われているので、昔から技術が途絶えずに続いてきたわけではないので 「
国が指定した伝統工芸品」にはなっていません。


鹿児島県が定める工芸品にはなっていますが、国が指定した伝統工芸品には指定されていません。






一方、ブランドとしてどこかが独占、占有することなく、庶民の間で幅広く浸透してきた江戸切子は技術が途絶えることは無く、国の指定を受けています。


以下は経済産業省がおおやけに公布している資料の抜粋です。
国の指定する伝統工芸品、江戸切子



国が指定していようがいまいが、自分が好きだと思った作品を買うのが最も良いと思います。






透明な部分と色がついている部分の境界があいまいで、これを「ぼかし」として特徴づけて販売されています。
薩摩切子、ぼかし、カット面、江戸切子との違い







江戸切子と薩摩切子の違いのまとめ

少し長くなったので、改めて要点をまとめます。


江戸切子薩摩切子違いまとめ



江戸切子と薩摩切子の同じところ
・製造され始めた時代は江戸時代で同じ

・二重構造の色被せガラスを主に使う

・どちらも多くの切子(カットグラス)の枠組みの中の1つ


江戸切子と薩摩切子の違いの部分
・江戸切子は薄く、薩摩切子はガラス2枚分の厚みがある

・江戸切子はカット面がシャープ、薩摩切子はカット面の境界が曖昧

・江戸切子は国の指定した伝統工芸品、薩摩切子は鹿児島県だけが定める工芸品







起源はどちらが先?


起源として、江戸切子と薩摩切子のどっちが先?という質問もあります。


公に証明するなら、江戸切子の方が公的資料が早く残っているので江戸切子が先という認識です。


しかし、その差は10数年しか違いが無いので、ほとんど同時期にポルトガル、あるいはオランダから入ってきた技術という認識になるかと思います。






最後にもう一度、まとめた表を載せておきます。






色々知った上で、当工房の作品を実際に見てみましょう
独立切子士斉藤光が江戸切子の技術で製作した切子製品。

これで以上です!






ちょっとした読み物

工芸品に対する個人的見解

私個人としまして、伝統工芸品であろうがなかろうが、国が指定していようがいまいが、本質は「自分がその作品が好きかどうか」が一番重要だと思います。



例えば、有名ではない日本の個人クリエイターでも、本当に素敵なものを個人単位で作っている人もたくさんいます。



NOブランドの手作りの機械式懐中時計を作る人や今まで見たことも無いクリエイティブな作品を作ったりする人もたくさんいて度肝を抜かれます。



余計な情報に惑わされずに、ご自身の目で良いと思ったものを選択するべきだと工芸品をコレクションしている私自身思います。





ダイヤモンドと切子

余談ではありますが、ダイヤモンドのカット技術も19世紀頃から伸び始め、現代の主流であるブリリアント・カットの手法が発明されました。

ダイヤモンドカット

ガラスカットの技術やダイヤモンドのカットの技術が同時期に伸び始めたのは、共通する何かがあるのかもしれません。


当工房でもダイヤモンドのブリリアントカットを参考に調整してグラスの底にあしらった「ダイヤ底」というきれいな型もございますのでご参考にして頂ければと思います。



宝石商の知識についても時間が出来た時に今後、ここに記事として書く予定です。




お問い合わせのご返信について

・基本的には土日祝日をのぞく、8:00~17:00の時間にてご返信させて頂きます。

お客様にご心配をおかけする事項だと判断した場合は、上記時間帯以外でも取り急ぎ早急にご返信する場合もございます。

shop info店舗情報