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切子工房 箴光は、伝統的な江戸切子の技術を継承した独立切子士が製作する切子の工房です。

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切子の素材、ソーダガラスとクリスタルガラス

切子の素材、ソーダガラスとクリスタルガラス

切子工房 箴光独立切子士の好奇心備忘録>切子の素材、ソーダガラスとクリスタルガラス


一点もの「吹き抜ける風」。クリスタルガラス性。クリスタルガラスの輝きを最大限に引き出した江戸切子の技術を用いた有名な一点物作品

切子のガラスの素材にはソーダガラスとクリスタルガラスという2つの素材があります。


みなさんももしかしたら聞いたことがあるかもしれません。


職人の目から見たその2つの素材について説明したいと思います。




執筆した切子職人の自己紹介

公益社団法人日本工芸会所属の独立切子士である斉藤光。彼の言葉で切子(江戸切子)の本物と偽物の見分け方を直接専門家の視点で解説します。

切子工房 箴光(しんこう)を代表します独立切子士の斉藤光(さいとうこう)と申します。


江戸切子の工房で修行してから独立し、「公益社団法人 日本工芸会」という人間国宝の先生が所属する団体に、正会員2名に推薦を受けて所属しております。


営業担当や外注して記事を書くライターではなく、このホームページ自体を切子職人である私自身がプログラミングして文字を入力しております。

全国的に有名で海外からも依頼が集まる、独立切子士の斉藤光による切子作品一覧。若手作家ならではの感性と確かな技術が融合した作品。







切子に使われるソーダガラスについて



日本で最も一般的



ソーダガラスのソーダは原料の炭酸ナトリウムのことを指しています。


炭酸ナトリウムは別名炭酸ソーダと呼ばれる物質で、こんにゃくの凝固剤にも使用されるものです。



コーラとかに入ってる炭酸は二酸化炭素で全くの別物です。




ガラスを熱して溶かす時に炭酸ナトリウムを加えるとガラスが液体になるまでの温度が1000度まで下がります。


つまり、ガラスの加工がしやすくなるために炭酸ナトリウムを加えます。


ソーダガラスは日本で広く一般的に広まっているガラス素材です。




ソーダガラスの切子上の特長



一般的に普及しているガラスなので、素材の値段が比較的安価なので、販売価格にもダイレクトに大きく反映されています。


※とはいえ、ガラス職人さんが1つ1つ手作りで製作しているので、ソーダガラスでも決して安くはありません。


同じカットだとしてもクリスタルガラスとソーダガラスで大きく値段が違うことでしょう。



あとはクリスタルガラスより比較的耐久性があります。


高校の化学で学びますが、物質の靭性(じんせい)がクリスタルガラスより高く、衝撃に比較的強いです。




クリスタルガラスは靭性の低さをカバーするようにかなり厚みを出して製造しますので、ガラスの内外の温度差が発生しやすく、熱で割れやすいです。


一方、ソーダガラスは比較的薄く仕上げられるので、比較的熱にも強い優位性があります。




厚みがあると重量が出るので、クリスタルガラス製の切子は高齢者が毎日使うと、間違いなく手首を痛めると思います。


当時30代前半だった、私でさえも実際に過去に手首を痛めているので、あとで詳しく書きます。



ソーダガラスは耐久性が比較的強く、重量も比較的軽めで、
普段使いの切子として使用するのに一番適していると私は考えます。





ガラスは熱に弱い



ガラスは急激な冷却や急激な加熱に対して弱く、熱々のお茶を入れると割れます。


これはソーダガラス、クリスタルガラスどちらも同じです。



ガラスの外側と内側で温度による膨張の体積差が発生するのが割れる原因です。


先ほども言った通り、クリスタルガラスは厚みがあるので熱に比較的弱いです。




生産者として実際に当工房で作っているソーダガラス製のぐいのみに100℃の熱湯注いでみましたが、割れませんでした。


しかし、環境の条件によっては普通に割れたりすると思うので、そういう例もあったとするに留めておいて、基本はお湯を注ぐことはできないと思って下さい。





耐熱ガラスもある


またホウ酸を加えると100°~400°くらいの温度に耐えられる耐熱ガラスになります。


私の修業時代の江戸切子の工房では、実際に耐熱ガラスを使った江戸切子を生産していました。




素材としての耐久が格段に上がっているようで、カット機材の刃が素材に食いつきづらかったり、磨きの工程も2~3倍くらい磨かないと光沢が出なかったりと、かなり加工がきつかったです。



同じカットのグラスでもソーダガラスに比べて製作に多くの時間がかかっていたのに、値段はそこまで高くなく販売していました。


今思うと薄利過ぎて採算は全く取れてなかったのではないかと感じます。



色んな工房があると思いますが、耐熱ガラスの江戸切子や切子を生産している工房はほとんど存在しないと思います。







切子のクリスタルガラスについて



クリスタルガラスは鉛(なまり)をガラスの成分に配合することで、透明度が高いものが作れ、その歴史は古く300年前のイギリスで製法が確立されています。


奥行きのある輝きが特長



ソーダガラスよりクリスタルガラスの方が輝きが良いということは間違いないかと思います。


体感ですが、奥行きのある輝きをクリスタルガラスに私は感じます。




普段は削らないクリスタルガラスの素材を頂いたので1点物としてクリスタルガラスで作品を作りましたが、輝きはソーダガラスとほぼ変わりませんでした。



クリスタルガラスの方が奥深い輝きを感じると思っていましたが、磨きの技術が高ければソーダガラスでも同程度の輝きが出ることが私の経験則として感じています。


上記クリスタルガラスの作品は1点物として販売中です。
売約しましたので、再販売はございません。




ソーダガラスの生産技術の向上、磨きの技術の進歩によりソーダガラスでもかなり品質の高いものが作られるようになっていますが、それでも素材内部から出る光沢の違いの差は埋められないと感じます。




クリスタルガラスは割れやすい性質上、置物のような普段は触ったり、使用したりすることが無い「見て眺める美術品」のようなものに使用すると最大の効果があるのではないでしょうか。




現在でも美しさを第一優先とし、クリスタルガラス製の江戸切子や切子も多数販売されております。


特にご年配の方は「クリスタルガラスが高級品」という認識になっているのではないでしょうか。


私が飛び込み営業を行った際には「クリスタルガラスじゃないとうちは扱わないよ」とご年配の経営者の方に断られたこともありました。



全ての江戸切子や切子をクリスタルガラスで作ればいいのかと思うかもしれません。


しかし、ソーダガラスの方でも少し話した通り、クリスタルガラスの良くない面があるため、2つの素材が今でも存在してニーズによって両立しているという状態です。





鉛を使った製品の使用縮小



近年鉛(なまり)は人体や環境に深刻な害を与えるとして使用が制限される方向に進んでいます。


世界情勢的にも鉛を使う製品は良くはないといった感じの扱いです。


こういった地球環境のことを考えているかどうかで人が製品を選ぶ時代になってきており、全世界のあらゆるビジネスで対応に追われています。


日本ではまだピンと来ないかもわかりませんが、アメリカでは環境を考えない有名な企業が不買運動にて売上が7割落ちてしまった例も出ています。


また生産する側の私の場合、毎日のようにクリスタルガラスを触り、毎日のように少しずつ鉛入りの粉塵(ふんじん)を吸うことになります。


将来の重度の健康悪化は火を見るよりも明らかなので、私自身がクリスタルガラスを取り扱いたくないというのもあります。






両素材の比較



両素材の比較をするとソーダガラスの方が

・人体に無害

・熱にそこまで弱くない

・比較的割れにくい

・重量軽め(手首の負担が無い)

・安価(製品価格を抑えられる)

・地球環境に悪くない

などのメリットがあるかと思います。




クリスタルガラスの優位性は「ソーダガラスより輝きがある」の一点かと思います。



磨きの技術で輝きの良さはかなりカバーできるので、当工房ではソーダガラスを使用しています。


個人的にも高価な物を購入して頂くので、壊れずに長く使える物を提供したいと思っています。




当工房のグラスは取引先の一流のバイヤーの方にも

ソーダガラスですか?クリスタルガラスかと思いました

と、ご評価頂くほど、磨きのグレードが非常に高いです。




当工房や大手工房でも意図的に「ソーダガラスを使用しております」と表記しているところもいくらか存在します。


どこも磨きに自信がある工房しか表記していないようにも思えます。




またクリスタルガラスはソーダガラスに比べて重量がかなりあります。


一般的には「重量があって重厚感がある」と触った瞬間はクリスタルガラスの方が良いと思う傾向があります。


しかし、私は自分で削った切子を普段使いで同じものを8年以上使っていますが、日常生活で毎日持つものに重量があると間違いなく手首を痛めます




お店の店頭でグラスを持って「重量があって良いな」と思って購入しても、毎日使う中で重さで手首に違和感を感じていると、そのうち手首の違和感は手首の慢性的な痛みになることが私自身の経験で体験しています。


一度手首が痛くなると、なかなか治らず私は治るのに3か月以上かかりました。




これが高齢者の場合、治るのも遅くなるので、高齢者への贈り物としては私は圧倒的にソーダガラスの方が良いと自信を持って言えます


当工房では例外を除き、100%ソーダガラスにて製作しておりますので、高齢者の方へのプレゼントにもご検討頂けると確信しております。





ソーダガラスが実際に割れにくかった例


知人の依頼でのみ、口元がチップした時に口元を輪切りにしてチップ部分を取り除くということをしていました。


左がソーダガラス、右がクリスタルガラスです。
クリスタルガラス、割れやすい

いつもはソーダガラスでチップ部分を取り除いています。


左のように口元部分をすっぽり輪切りで輪っかになるように取り除いていました。




初めてクリスタルガラスでチップ部分を取り除こうとしたら、ソーダガラスでは考えられないくらいの激しい割れ方で、急に「バリーン」と音を立てて割れました。


いつもと同じことをしていたのに、クリスタルガラスだけ割れ、写真のように勢いよくグラスの中央部まで亀裂が入って割れました。




調べてみると、クリスタルガラスはかなり割れやすいという話がネット上でも散見され、硬度が高くても靭性(じんせい)がソーダガラスより弱く、割れやすいというものでした。


高校の化学で習いますが、硬度はひっかき傷、靭性は素材の粘り気・衝撃に対する強さです。


例えば、ダイヤモンドは最も硬度の高いひっかき傷に強い石ですが、靭性(じんせい)はそこまで強くなく、ハンマーで叩くと簡単にダイヤモンドは割れます。






海外のブランド



海外の有名なブランドでクリスタルガラスを主軸にして販売しているブランドもあります。


海外製品を見てもらえればわかりますが、カット面がトロトロにとろけていて、切子のような際立ったカット面を触ったときの心地良さはありません。

型押し

これは大量生産で型に押し込めてガラスを作ったか、酸磨きというガラスの表面をトロトロに溶かす方法で磨くとこのような形状になります。



当工房で行っている手磨きという方法ですが、過度に磨きすぎると上記の写真のようにカット面がとろけてしまいます。




修業時代に良かれと思って、磨きを多めに時間をかけた結果表面がとろけてしまいました。


先輩方に「切子の良いところはカット面の角(エッジ)が立って触り心地がいいところもあるんだからそれは大切にしないとダメだよ」とよく注意されました。




日本の職人が作る物作りの品質の高さと値段の安さをみなさんにも感じて共有してもらいたいなと思います。




人の不幸で飯を食わないことを絶対の条件としているので、私の作る切子は多分、皆様にとって、素材の時点から一番ベストだという自信をもってお送りいたします。





全てソーダガラスなので、話を聞いた上で実際に作品を見てみてください。
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